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花粉症シーズン到来!
コンタクトレンズユーザーの花粉症対策

2020/03/16, 月曜日

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今年もやってきた花粉シーズン。花粉症は目以外の部分にもアレルギー症状が現れますが、目は非常に症状のでやすい場所です。コンタクトレンズユーザーにとって、花粉の飛散量が多い春は憂鬱な季節ではないでしょうか。そんなシーズンを快適に過ごすために、『花粉シーズンのコンタクトレンズ選び3つのポイント』をご紹介します。

ポイント①「1日使い捨て(ワンデー)」であること

目は、直接外界に接していて花粉が入りやすい器官です。目の結膜にはアレルギー反応を引き起こす細胞や血管がたくさんあるために、炎症を起こしやすいと考えられています。花粉はコンタクトレンズにも付着し、そこにとどまるので、コンタクトレンズユーザーにおいては目に触れる花粉の量が多くなります。また、毎日レンズを洗っても付着した花粉を完全に洗い流すことは困難です。そのため、コンタクトレンズの装用は花粉症の症状を悪化させる場合があることが知られています。

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1日使い捨てレンズ(ワンデー)は短期間で交換するので、目に触れる花粉の量が少なくなることからも、コンタクトレンズユーザーの花粉症の症状を悪化させないためには有効な手段と言えるでしょう。1日使い捨てレンズ(ワンデー)を使用すると、他の装用方法に比べて花粉症の症状が軽減されることが研究報告1)で示されています。

また、症状がひどいときはメガネを装用し、症状が軽いときはコンタクトレンズを装用するといった状況に応じて使い分ける方法もとることが可能です。そのような観点からも1日使い捨てレンズは使いやすいかもしれません。

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ポイント②レンズが乾きにくいこと

レンズが乾くと表面に花粉がつきやすくなるため、涙のうるおいをキープする、乾燥しにくいレンズは有用と考えられます。
また、花粉症患者の多くはドライアイを発症するという研究報告2)もあり、花粉症の飲み薬の中には目の乾きを引き起こすものもあります3)。乾きにくいレンズはそのような場合にも有利と言えるでしょう。

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ポイント③非イオン性素材であること

ソフトコンタクトレンズは素材の電気的な性質の違いによって汚れのつき方が変わってきます。マイナスに帯電している「イオン性レンズ」は涙の成分であるタンパク質を引き寄せます。これは、このタンパク質がプラスに帯電しているからです。非イオン性レンズは電気的にニュートラルなため、タンパク質をあまり引き寄せず汚れにくいことが特徴です。4)そのため、非イオン性のレンズはイオン性のレンズに比べると装用中も表面がなめらかに保たれ、花粉はつきにくいと考えられています5)

イオン性レンズ

「イオン性レンズ」はマイナスイオンを帯びているので、プラスイオンを帯びたタンパク質汚れを引き寄せやすくなっています。

非イオン性レンズ

「非イオン性レンズ」は「イオン性レンズ」と比べて、プラスイオンを帯びたタンパク質を引き寄せないため汚れにくいという特長があります。

※花粉症の症状が強いときはコンタクトレンズを装用せず、メガネの使用をお勧めします。花粉症の症状がある方はまずは眼科医にご相談いただき、コンタクトレンズは、眼科医の検査・処方のもとお使いいただくようお願いします。

  • *
  • 1) Hayes VY, Schnider CM, Veys J. An evaluation of 1-day disposable contact lens wear in a population of allergy sufferers. Cont Lens Anterior Eye. 2003 Jun;26 (2): 85-93.
  • 2) Suzuki S, Goto E, Dogru M, et al. Tear film Lipid Layer Alterations in Allergic Conjunctivitis. Cornea Vol. 25 (3). 277-280. April. 2006
  • 3) Ousler GW, Workman DA, Torkildsen GL. An open-label, investigator-masked, crossover study of the ocular drying effects of two antihistamines, topical epinastine and systemic loratadine, in adult volunteers with seasonal allergic conjunctivitis. Clin Thur. C2007 Apr;29(4):611-6.
  • 4) Jones L, Evans K, Sariri R, Franklin V et. al. Lipid and protein deposition of N-vinyl pyrrolidone-containing group Ⅱand group Ⅳ frequent replacement contact lenses. CLAO J 23: 122-126, 1997.
  • 5) 佐野研二. イオン性素材 - 何が問題なのか. あたらしい眼科 17 (7): 917-921, 2000.