眼球は文字通り球形をしていて、外界の画像情報をキャッチし、眼球の奥にある視神経に伝える器官です(図6)。

視神経に伝えられた情報は脳に送られ物を認識します。
外側の角膜と強膜で眼球を包みこみ、眼球を守り、形を保っています。前方にある角膜は透明で、外からの光を屈折させて目の中に入れます。一方、「白目」にあたる強膜は白く、あまり光を通しません。強膜の内側にはぶどう膜があります。ぶどう膜は虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの部分から成っています。虹彩は水晶体の前にあって、瞳孔から入る光の量を調節しています。日本人では瞳のこげ茶に見える部分です。毛様体はチン小帯で水晶体とつながって水晶体を支え、筋肉の働きで水晶体の厚さを変えてピントを合わせています。脈絡膜は血管が多く、網膜に栄養を送っています。
網膜はいちばん内側の壁で、視細胞(杆体細胞・錐体細胞)があって、光・色・形を感知します。ここに映った像が視神経を伝って脳に送られ、物が見えるのです。いちばん奥に黄斑部と呼ばれる部分があり、その中心である中心窩が物を見る中心になります。
水晶体は成分の60%以上が水で、光を屈折させるレンズの役目をしています。硝子体は中にゼリー状の物質が詰まっていて、眼球の形を保っています。水晶体から前の部分は、毛様体で分泌される房水という液体で満たされています。房水は血管のない角膜や水晶体に栄養を与えたり、眼圧調整をしたりします。
そのほか、眼球付属器と呼ばれるものに、眼瞼(まぶた)、結膜、涙器、眼筋、眼窩があります。結膜はまぶたの裏から強膜につながって眼球と眼瞼をつないでいます。涙器には涙腺と涙道があります。まぶたの目じりの上にある涙腺から分泌される涙は目を潤し、ごみを取って、目がしら側にある管から鼻に排出されます。眼筋は6本あり、眼球をいろいろな方向に動かすときに使われます。眼窩は眼球などを入れる骨のくぼみで、眼球を保護します。
医療のさまざまな分野で使用されているレーザー。レーザーは自然界にはない人工の光で、単一の波長で拡散せずに集中する性質をもっています。太陽光線をプリズムで見ると赤から紫まで多くの色に分かれますが、レーザーはその中の一つの色だけの光を取りだし、増幅させて治療に用います。波長の長さや照射の時間(パルス幅)などで用途によっていろいろなレーザーを使い分けます。患部に照射してメスのように切ったり、組織を焼いたり、凝固させたり、多様な使われ方をします。
眼科ではレーザーは次のように用いられます。
(1)レーザー光凝固療法
糖尿病網膜症などのように、傷つけられた網膜に必要のない新生血管がつくられたりする場合、新生血管の進行や発生を防ぐために使われます。また、網膜中心静脈閉塞症や加齢黄斑変性で出血や新生血管の発生が見られるときや、中心性漿液性脈絡網膜症で黄斑部に水がたまる場合、網膜裂孔などにも行われます。
一般的に光凝固にはアルゴンレーザーやダイレーザーが用いられます。
(2)角膜屈折矯正術:レーシック
網膜の前で像を結んでしまう近視に対して、角膜を削って光の屈折を変え、網膜の上に像を結ぶようにするレーシックは、レーザーの中のエキシマレーザーを使って行われます。
(3)そのほかの治療法
後発白内障の膜の切除や、緑内障で房水の流れをよくする必要があるときや、虹彩に孔を開けて房水の流れを変えるときにも、レーザーが用いられます。主にヤグレーザーが使われます。
ヒトの網膜には約1億3000万個の受容体があります。網膜でキャッチされた情報は100万個の神経線維を持つ視神経を通って、脳の視中枢に送られます。ヒトが得る情報の80%以上は視覚によるもので、耳や鼻などほかの感覚器官で受け取った情報のはるかに多くの情報を、私たちは目から受け取って処理しているといわれます。
網膜は発生学的に見ると、間脳が側方に突出してできた眼胞を起源としています。このことから、網膜=目は発生学的には脳の一部ということができます。
私たちは脳で見たものを処理する=理解するわけですが、ぼんやりしていたり、なにかほかのことを考えていたりすると、見ているものを意識していないことがあります。そんなときでも目は常に、外から入ってくる情報をすべて受け止めています。カメラに例えられる目の仕組みですが、カメラはシャッターを押した瞬間しか像としてとらえることはできませんが、目は自動で焦点を合わせながら画像を映し続けています。