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原発開放隅角緑内障(げんぱつかいほうぐうかくりょくないしょう)

ひとくちに緑内障といっても、その種類はさまざまです。ひと昔前は閉塞隅角緑内障の急性発作時に瞳孔が青緑色に見えることから、緑内障のことを俗に「あおそこひ」と呼んでいました。また緑内障を「眼球内部の圧力の上昇により、視神経が圧迫されて障害を起こす病気」と定義していましたが、眼圧が正常でも起こる緑内障があることから、最近では「視神経乳頭変化および対応する緑内障性視野障害を認める病気」と定義しています。つまり眼圧上昇中心ではなく、視神経変化と視野の変化に重きを置いて考えるようになったのです。

とはいっても、眼圧の上昇は視神経や視野の集合体である視神経乳頭を圧迫して傷つけることに変わりはありません。ところで、眼圧とはいったい何なのでしょう。簡単にいってしまうと眼球に張りを与えている力で、眼圧は房水と呼ばれる液体の流れによって生じます。房水は毛様体でつくられ、瞳孔を通って前房へ向かい、房水の出口である隅角から隅角線維柱帯を通ってシュレム管へ流れ出し、最後は眼球の外の静脈に吸収されます(図9)。

図9:眼球の構造と房水の流れ

つくり出される房水の量が隅角から出て行く房水の量と等しければ眼圧は常に一定です。しかし何らかの理由で排出量が産生量を下回ると、前房内の房水が過剰になり、眼圧が上昇してしまいます。

原発開放隅角緑内障は、隅角は開いているものの、その先の房水排出路の一つである線維柱帯が目詰まりを起こすために起こる病気です。房水の通過障害はじわじわ進むので、病気の進行もゆっくりです。このタイプの緑内障にかかりやすいのは強度の近視、糖尿病の人にもみられますが、遺伝的素因が主に関係しています。20代、30代にも起こりますが、病気の進行が遅いこともあって40代以降に増加する傾向にあります。

自覚症状がほとんどないのがこのタイプの特徴です。しいていえば、頭痛や眼精疲労くらいです。知らない間に視神経の損傷が進行すると、視野の中心部の見えない範囲が広がると同時に、内側(鼻側)の上部から次第に視野が狭くなっていきます。具体的には文字の一部が欠けて見えたり、テレビ画面で見えない部分が出たりします。そうならないためにも、40歳を過ぎたら片目をつぶって視野の欠損はないか、セルフチェックすることが大切です。

検査では、まず眼圧検査が行われます。目に小さな圧力をかけて、その力に反応する力を測るのが眼圧検査です。眼底検査では視神経乳頭の変化がわかります。視神経乳頭の変化は自覚的な視野狭窄より先に現れますので、この検査はとくに重要です。また、隅角の状態を詳しく調べるために細隙灯顕微鏡検査も行われます。目を動かさないで物が見える範囲のことを視野といいますが、正常な人の場合、鼻側60度、耳側90度、上側60度、下側75度です。ゴールドマン視野計や自動視野計を使っての視野検査も欠かせません。

治療の主体は、房水の産生を抑えたり、その排出を促す作用を持った成分を含んだ点眼薬治療です。薬物療法を行っても眼圧が下がらないときは、レーザー線維柱帯形成術で線維柱帯の目詰まりを解消したり、強膜に孔を開けて房水を排出する濾過手術が行われます。