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網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)

乳幼児に多い、網膜に発生する悪性腫瘍です。頻度は15,000人に1人と、まれな病気です。両目に生じる場合と片目にのみ生じる場合があり、その比率は1:2.6です。両目の場合と、片目の10%前後に遺伝性のものがあります。 原因としては、13番染色体にあるがん抑制遺伝子RB1に異常が起こって発生することがわかっています。 初期には充血や痛みなどの目の症状はありません。乳幼児は自分から訴えないので、多くは腫瘍がかなり大きくなってから発見されます。外から見ると眼球の中に白く光る部分が見つかります。これを白色瞳孔、あるいは猫目と呼びます。また、悪い方の目の視力が低いために斜視が起こり、そこから気づかれることもあります。一般的に、両眼性なら1歳前、片眼性なら2歳前に起こります。

診断は眼底検査を行い、特徴的な白い腫瘍が見つかればつけられます。なかには網膜が剥離して腫瘍を隠していたりしていて診断がつきにくいこともあるので、超音波検査、CT、MRIなどの画像診断を行います。とくにこの腫瘍は石灰化を含むことが多いので、CTで石灰化が認められれば、ほぼ診断は確定します。全身のCT、MRIなども行い、視神経への浸潤や他臓器への転移の有無なども調べます。片眼性かどうかの診断は、もう一方の目の腫瘍が小さくて見つからない場合もあるので、時間をかけて慎重に行う必要があります。滲出性網膜症(コーツ病)や第一次硝子体過形成遺残という発生異常との鑑別も重要です。

網膜芽細胞腫は進行すると視神経を通って脳に転移したり、眼球壁を破って外に出たりします。眼球の外に腫瘍があるかどうかで治療法は異なります。眼球内にとどまっていて腫瘍が小さければ、放射線治療や抗がん剤による化学療法の組み合わせ、レーザーを当てる凝固療法、温熱療法、光線力学療法などの眼球保存療法が行われます。いずれも腫瘍を不活性化させることが目的ですが、年齢によっては適応不可な場合もあります。
腫瘍が大きければ眼球摘出が行われ、転移がある場合には術後に化学療法や放射線療法が行われます。
5年生存率は90%以上です。手術後も定期的に経過観察を続け、片眼性の場合には、もう片方の目に腫瘍ができてこないか(本当に片眼性か)を慎重に検査していきます。また放射線治療や化学療法などによって白内障や網膜剥離などの合併症が起こることもあるので、そのチェックも必要です。